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SEPTEMBER
オフMONDAY 2019 / 9 / 30
砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない
A Lollypop or A Bullet
Text by Shinji Sato
こんにちは
佐藤です。
今日はこちらの本をご紹介します。
鳥取県境港市が舞台となった本です。
砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない
A Lollypop or A Bullet
ちなみに漫画もあるみたいです。
あらすじー引用
その日、兄とあたしは、必死に山を登っていた。見つけたくない「あるもの」を見つけてしまうために。あたし=中学生の山田なぎさは、子供という境遇に絶望し、一刻も早く社会に出て、お金という“実弾”を手にするべく、自衛官を志望していた。そんななぎさに、都会からの転校生、海野藻屑は何かと絡んでくる。嘘つきで残酷だが、どこか魅力的な藻屑となぎさは徐々に親しくなっていく。だが、藻屑は日夜、父からの暴力に曝されており、ある日――直木賞作家がおくる、切実な痛みに満ちた青春文学。
実は紹介するかどうかかなり悩んだ一冊です。
というのもかなりナイーブな内容の本となっており、
人によっては「問題作」というとらえ方をするかもしれません。
それぐらい読者の心にダメージを与えてきますし、
かと言って読むのをやめたくても
一度読むと最後まで手が離せなくなります。
ですのでそういった作品が苦手な方にはあまりお勧めはできません。。。
この物語は主人公の「山田なぎさ」と主人公のクラスに転校してきた
「海野藻屑」の二人の人物を中心に進んで行きます。
9月頃に中学二年生の山田なぎさのクラスに
海野藻屑が転校生としてやってきます。
震えながら自己紹介をする海野藻屑に
クラスメイトから
「海野さんのおとうさんって、海野雅愛ですか?」
という質問を受けると態度が一変し、クラスから浮いていきます。
自己紹介を終え、席に向かう海野藻屑が
クラスメイトから足を引っ掛けられ転んだ際に
山田なぎさは海野藻屑の太ももに付いている拳の形をした痣に気付いてしまい、
また、気付いたことを海野藻屑に気付かれてしまいます。
それから海野藻屑は山田なぎさに良く絡むようになり
だんだん二人は仲良くなっていきます。
中学二年生というまだ力のない複雑な時期の子どもが
虐待を身近に感じどう立ち向かっていくのか。
そんな内容になっているのですが、
この本はとある新聞記事の抜粋から始まります。
新聞記事より抜粋
十月四日早朝、鳥取県境港市、蜷山の中腹で少女のバラバラ遺体が発見された。身元は市内に住む中学二年生、海野藻屑さん(十三)と判明した。藻屑さんは前日から行方がわからなくなっていた。発見したのは同じ中学に通う友人、A子さん(十三)で、警察では犯人、犯行動機を調べるとともに、A子さんが遺体発見現場である蜷山に行った理由についても詳しく聞いている……。
物語りの一番重要な部分であるはずの
虐待を受けている「海野藻屑」の将来。
それが読者に与えられる一番最初の情報です。
話の中でどんなに希望が見えたとしても
バッドエンドに終わることを読者は知った上で読むこととなります。
そして物語りの中で二人の主人公は
どんな最後が待っているか知る由もなく精一杯生きます。
この本を読み終わった後はタイトルの重さを感じると思います。
「是非」とは言いませんがよろしければ一度読んでみてはいかがでしょうか?