19
DECEMBER
漫画TUESDAY 2017 / 12 / 19
おすすめ漫画紹介:天堂家物語(斎藤けん)
Text by Hiroyuki Matsumoto
気づけば約8ヶ月間もの間、「漫画」カテゴリーには誰も投稿していないことに気づいてしまった松本です。
ならば私が何か書かねばなるまい!
ということで、本日紹介するのは斎藤けんの「天堂家物語」です。
見ての通り 少女漫画です。
なぜ私がこれを選んだかというと、登場人物が全員狂っているという点に尽きます。
主人公(表紙女)
爺ちゃん(血縁なし)に依存しきった生活しか知らない。爺ちゃんが亡くなってしまったので「早く死んで爺ちゃんに会いたい」というのが彼女の本望。人のために命を捨てるのであれば爺ちゃんに胸を張って会いに行けるのではないかという考えのもと、人助けのために自ら危険に身を投じる。
天堂雅人(表紙男)
自分の家である天堂家(由緒あるお金持ち)に恨みがあり、天堂家を破滅させたい。理由は4巻時点では不明。
爺ちゃん
素性不明。故人。みなし子の主人公を育てるも、名前もつけず「チビ」とだけ呼んで育てる。主人公には畑仕事と武術・体術を教え込んだ。ほぼ2人きりの生活だったため主人公には全く社会性が育っておらず、また爺ちゃんへの依存心が強いのもこの爺ちゃんの育て方のせいだと推測される。
※ 現代では普通に虐待扱いになると思います。
その他の主要人物も、みな狂っているといって過言ではありません。そんなんばっかり出てきます。
それで「なぜ彼らが狂うのか?」ということを考えてみると、それは心に穴があるからではないかと思うのです。それまでそこに在ったものを失くしたり、奪われたりしたとき、焦燥感に駆られてその穴を必死に埋めようとしてしまうのでしょう。その様子が傍から見ると狂ったように見えてしまう、という。
登場人物らがその穴を埋めることができるのか、あるいは焦燥感を捨ててその穴を受け入れるのか、
はたまた狂ったまま破滅していくのか、そんなふうに読んでいくと興味深いですね。
ちなみに平行して連載している「かわいいひと」は “ほのぼの恋愛漫画” といった内容ですので、作者はこっちを描くことで精神のバランスを保っているのではないかと妻と話しています。
TEXT by
松本 博之(まつもとひろゆき)
1978年、鳥取県米子市生まれ。
株式会社マジックワード WEBシステムの開発・運用を担当。
WordPressの実績多数。表面的な使用方法を把握するだけでなく、WordPressのソースコードを読み解いて対応できます。
国家資格の応用情報処理技術者をなんとなくとりました。